データベース
Match Summary
神奈川県ジュニアテニス選手権大会 決勝丸尾栄一郎 − 荒谷寛(第1シード)

※○はサービスキープ、◎はサービスブレイク
|
【管理人的解説】
神奈川県ジュニアテニス選手権決勝の相手は今大会第1シードであり全日本ジュニア選抜室内テニス選手権大会ではベスト8の荒谷くん。
8ヶ月前にも試合をしており、そのときエーちゃんは1-6 4-6で敗北したが、実際の実力差はスコア以上に大きく離れていた。
その試合後からエーちゃんはプロを目指して本格始動し、とてつもなく濃密な8ヶ月を経過してのリベンジマッチ。
どれだけ成長したかを計るにはこれ以上ない打って付けの相手である。
関東ジュニアテニス選手権でシードを獲るために、そして全日本ジュニアテニス選手権で優勝するために全国ベスト8を実力で上回っておきたい、負けられない試合である。
1stセット序盤は前回の対戦を踏まえての探り合い。
そこから均衡が崩れた要因は、エーちゃんが左利きに慣れていないという経験不足が露呈してしまったから。
そこから持ち前の分析力で左利き対策を練っていくわけだが、幸か不幸かそのサウスポーは、左利きとしては全国No.1といえるレベル。攻略するのは一筋縄ではいかない。
が、荒療治かもしれないが時間が限られているエーちゃんにとっては願ってもないチャンスに変わる可能性がある。
いかにこの試合で勝つかを考えて左利き対策をしていたら、いつの間にか中・下位レベルのサウスポーは相手にならなくなってしまうような効率の良さに結びつき、関東・全日本でサウスポーと試合をすることになってももはや戸惑うようなことはなさそうである。
2ndセットでのエーちゃんのブレイクは試合が始まってから試行錯誤した上での戦略の結果であるが、試合をしながら考えるということは局面を打破するほどの大きな武器はまだ手にしていないのかもしれない。
普段持っている武器では全国レベルではなかなかブレイク出来ない。
フィジカル面で強みがないのはそれだけで1つのハンデである。
そしてこの試合あたりからチェンジオブペースという言葉が頻出となってくる。
これまでもパワーに対抗するため緩急を織り交ぜた攻撃は度々見せてきたが、それがこの試合から本格化していく。
この試合ではまだまだ未完成で全国レベルの相手にはあまり通用しなかったが、今後の課題は見つかったということか。
最後は頭脳も体力も限界を迎えたエーちゃん。
荒谷くんは、チェンジオブペースへの対応の速さ(14巻P21)、限界が近いエーちゃんに対してディフェンシブに戦うしたたかさ(14巻P69)、最後の悪あがきは油断出来ないという勝負所を見極める力(14巻P101)など、テニス歴2年のエーちゃんとの実力の差、経験の差を見せつけた。
それにも関わらず"いい勝負"をすることが出来たエーちゃんのことも評価したい。
最終的には、まだ地力は荒谷くんの方が上だと言わざるを得ない。
だが前回の対戦と比べれば、相当戦えるレベルになってきたのも事実。
「そこは見習うとこなんじゃないのか?自分を上回る敵とどう戦うべきか。」(3巻P181)
神奈川県No.2の実績を引っさげ関東、そして全日本優勝を目指すことになった。