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思い出のシーン

#135 永遠に続く時間

一番印象に残ったのは15巻P74の最初のコマ。

ベイビーステップの中で一番好きな言葉です。
こんなに温かくて優しく包み込む言葉がかつてあっただろうか‥‥‥



それにしてもなぜこのタイミングでの告白となったのか?
なっちゃんの視点で語られることがないため真相は不明だが‥管理人なりに考えてみると‥
ふと現状に気が付いたのではないだろうか。
「あれ?」と。
なっちゃん自身の夢もそうだがエーちゃんの夢もそろそろ1つのゴール。プロを目指すその第一段階として二人の目の前に全日本ジュニアが控えている。特にエーちゃんは全日本ジュニアに全てを懸けている。そのゴールが実はもう目の前にある。
これまでなっちゃんはテニスプレーヤーの先輩としてエーちゃんを導く立場にいた。エーちゃんをがっかりさせないように先輩としてしっかりしなきゃと思っていた。だからこれまでそうやってきた。でも導くことが出来たのは実はエーちゃんに助けられていたからなんだと気が付いた。ここまでやってこられたのはエーちゃんがいたからなんだと。
なっちゃんは、そのエーちゃんに自分も助けられていることを伝えたかった。「ありがとう」って言いたいのはエーちゃんだけじゃないんだよと。
そして対等の立場になりたかった。言わなくても分かることがあるが、言わないと分からないこともある。
このタイミングでの告白にはこうした背景があるのではないかと思う。



お互いに学びあう
お互いに高めあう
お互いに励みあう
お互いに助けあう
お互いに思いやりあう
お互いに支えあう
お互いに誓いあう
お互いに認めあう
お互いに信じあう
お互いに尊敬しあう
お互いに感謝しあう
お互いに愛しあう

二人は、ただ目の前のものを積み上げていただけかもしれない。しかしその過程がこの結果を導いた。
二人の共通点は共に"飾らない"。エーちゃんは自分の弱い部分を認めることが出来る、なっちゃんは常に自然体。変なプライドなど二人にはない。だからダイレクトに伝わる。
自分のためにしていることが自然と相手のためになる。負の連鎖ならぬ正の連鎖による相乗効果。同じベクトルで進む共通意識を元にした絶大なる信頼関係。
この二人の関係を表すのにピッタリな言葉が「ありがとう」なんだと思う。
それが素直に言い合える。
言う側にも言われる側にもそれだけの資格がある。



エーちゃんにとってのベイビーステップ。
なっちゃんにとってのベイビーステップ。
二人にとってのベイビーステップ。
これまでのその一歩一歩のベイビーステップの積み重ねが二人の距離を縮め、この二人だけが共有出来る、この二人の中だけで流れる特別な時間を生み出すことを可能にした。
そのこれまでの積み重ねが幾重にも無限に重なり続け1つの通過点となり、更にはそれがこれからの二人の新たな未来への架け橋となり、終わることのない永遠に続く時間へと続いていくのである。

これまでのときの流れが凝縮された珠玉の一話。


#134 遠征 #136 緒戦の想定